研究ノート

私的な勉強の記録です。

マーケティングとブランドの勉強をし直すために作ったブログです。事例やニュースの蓄積なんかもしていきますが、当面は「戦略的ブランド・マネジメント 第3版」(ケビン・レーン・ケラー)を読みブランドの復習をしながら、メモを残していきます。勉強中なので生暖かく見守ってください。

1-3.ブランド化の条件

「どうすればブランド化できるか?」これがハッキリすれば実務で悩むことは少ないわけです。ブランドを勉強する目的でもあります。

「ブランドとは消費者のマインド内に存在するものである」
「ブランディングの鍵は、消費者に製品カテゴリー内のブランド間の差異を知覚させること」
「消費者が選択する状況にあるときには必ず、ブランディングの力を借りることができる」


<製品タイプ>
・有形財
製薬産業
アメリカでは処方薬の対消費者直接広告が1994年2億4200万ドルから2005年42億ドルに成長。
B2B製品
B2Bブランドはコーポレート・ブランドであることが多く、その観点で理解することが重要。B2Bブランディングは関わる人の数が多いため複雑。※B2Bブランドの事例 : イートン
ハイテク製品
優れた製品仕様と製品特徴だけではもはや利益を見込めない。※ハイテク製品事例 : インテュイット
・サービス
サービスをマーケティングする難しさは、サービスが製品とは異なり形がなく、サービスを提供する人で品質が左右されやすいことにある。
サービスにブランドを与えることは、企業がその名にふさわしい特別なサービス商品を設計したことを消費者に発信するうえでも効果を発揮する。
・小売業者と流通業者
「店舗が売っているものは店舗自体である」
・オンラインの製品とサービス
・人と組織
ポール・ニューマン「ニューマンズ・オウン」の企業スローガン「公益のためにあつかましく営利を追求する」
どのような分野でも、同僚、上司、社外の重要な人々に自分の人となりやスキル、才能、態度などを知ってもらうことは間違いなくキャリア成功の1つの鍵である。
・スポーツ、芸術、エンターテイメント
・場所
・アイディアとコーズ
コーズ=社会的主張

1-2.なぜブランドは重要なのか?

「ブランド力が無い」「ブランディングに力を入れなきゃ」などなど、マーケティングに関わっていると日常的にブランドという言葉が飛び交いますが、そもそも「ブランドってなんで大切なの?」という純粋なる質問にスカッと回答出来ないとね。

何故ブランドは重要なのか?

消費者にとって : ブランドが日々の活動を容易にしたり生活を豊かにするから。
企業にとって : ブランドが消費者に影響を与え、売買でき、将来の持続的な収益を確保してくれる非常に価値の高い法的財産だから。


ブランドの果たす役割 
<消費者>
・製品の製造元の識別
・製造責任の所在の明確化
・リスクの軽減
・探索コストの軽減
・製造者とのプロミス、絆、約束
・シンボリックな装置
・品質のシグナル
<製造業者(企業)>
・製品の取り扱いや追跡を単純化するための識別手段
・独自の特徴を法的に保護する手段
・満足した顧客への品質レベルのシグナル
・製品にユニークな連想を与える手段
・競争優位の源泉
・財務的成果の源泉

製品の3つのカテゴリ

・探索財 : 食料品のような、消費者が目で見て郷土、大きさ、色、スタイル、デザイン、重量、成分構成など製品属性を評価できるもの。
・経験財 : 自動車タイヤのような、製品属性が目で見ただけでは簡単に評価できず、耐久性、サービス品質、安全性、扱いやすさや使いやすさを判断するには、実際に製品を試して体験する必要があるもの。
・信頼財 : 保険のような、製品属性がよくわからないもの。
⇒ 評価や解釈が難しい経験財・信頼財においてブランドの重要性は特に高い。


(補足)
ブランドが役割を果たす「リスクの軽減」 について
消費者が製品を購入する際に知覚するリスク
・機能的リスク : 期待した水準の機能を製品が果たさない。
・身体的リスク : 製品が使用者などの身体や健康に危害を与える。
・金銭的リスク : 支払った価格に製品が値しない。
・社会的リスク : 製品が他社に迷惑をかける。
・心理的リスク : 製品が使用者の精神に悪影響を与える。
・時間的リスク : 製品選びの失敗によって、満足のいく他の製品を探す機会コストが発生する。

(補足)
ブランドの「シンボリックな装置」としての役割

特定のブランドは特定のタイプの人々を連想させ、それぞれに異なる価値観や特質を反映する。つまり、初対面の人の身なり服装、持ち物から「このブランドを身に着けている人は『こういうタイプの人』」と第一印象と想定することがありますよね。この機能です。ブランドに付随するイメージを、その人のメッセージとして発する役割をブランドが担っているということですね。

1-1.ブランドとは何か

「ブランドとは何か?」っていう話はよく話にあがります。ブランドに関わる人にとっては最も重要なお題ですよね。それは、ブランドがどのような定義であるかが重要なのではなく、議論なり実務において、関わる人同士が同じ定義を持つために重要なのです。ブランドに対する共通認識を持つことこそがブランドに携わる第一歩ということで。

アメリカ・マーケティング協会の定義
「個別の売り手もしくは売り手集団の商品やサービスを識別させ、競合他社の商品やサービスと差別化するためのネーム、言葉、記号、シンボル、デザイン、あるいはそれらを組み合わせたもの」 = brand

業界の考えるブランド
「市場に一定の認知、評判、存在感などを生み出したもの」 = Brand

ブランドと製品
ブランド化できる対象 = ニーズあるいはウォンツを満たす可能性があるものとして、注目し、取得し、使用ないし消費してもらうために市場に提供されるものすべて。(有形財、サービス、小売店、人、組織、場所、アイディア)「ブランド=製品」ではない。 

※参考メモ : 5つの製品レベル
1.コア・ベネフィット・レベル
 製品やサービスを消費することによって消費者が満たす基本的なニーズないしウォンツ
2.一般製品レベル
 製品が機能するために絶対に必要な属性ないし特性のみを備え、際立った特徴のない基本形
3.期待製品レベル
 買い手が製品を購入する際に通常期待し同意する、属性無いし特性の集合
4.膨張製品レベル
 製品を競合他社の製品と区別する追加的な属性、ベネフィット、関連サービス。
5.潜在製品レベル
 製品にいずれ追加される可能性のある、膨張及び変形

戦略的ブランド・マネジメント 第3版
戦略的ブランド・マネジメント 第3版