研究ノート

私的な勉強の記録です。

マーケティングとブランドの勉強をし直すために作ったブログです。事例やニュースの蓄積なんかもしていきますが、当面は「戦略的ブランド・マネジメント 第3版」(ケビン・レーン・ケラー)を読みブランドの復習をしながら、メモを残していきます。勉強中なので生暖かく見守ってください。

4-4.ブランドネームのポイント

2013年1月にスタートした本ブログ、毎年1月に仕切り直し毎年2月ぐらいにはフェードアウトしてます。5年目の正直。1年ぶりに復活します...。

ブランドネームのポイントとして、以下の

・シンプルで発音や綴りが容易なこと 

 ブランド・ネームがシンプルならば、消費者がそれを理解したり処理したりするのに払う努力は少なくてよい。短いネームは記憶されやすいので、想起も容易になることが多い。
 → 確かにそうですよね。ただ、短く良いネームはもう既に何かと被る可能性大ですよ。

 強力な記憶のリンクを構築できる口コミに乗せやすくするためにも、発音しやすいブランド・ネームにしたほうが良い。(例:「エイム」「レイド」「ボールド」)
 読みにくいネームのブランドは、消費者にブランド・ネームの正しい読み方を教えることに初期のマーケティング努力を多大に割かなければならないため、困難な戦いを強いられる。(例:「ヒュンダイ」「フルーセン・グレジェ」)
 → ほんと、その通りですよね。

・親しみやすく意味があること

 既存の知識構造を利用できるように、ブランド・ネームは親しみやすく意味のあるものが望ましい。(例:クライスラー社「ネオン」)
 ブランドと製品カテゴリーの強い結びつきを作り上げ、ブランド想起を促進するため、製品無いしサービス・カテゴリーを示唆するようなネームが選択されることもある。(例:「ジューシージュース」「チケットロン」)

・差別化され、目立ち、ユニークであること 

 シンプルで発音しやすく、親しみがあり、意味のあるブランド・ネームを選択すれば、想起されやすさは高まる一方、ブランド再任を高めるためには、他と差別化され、目立ち、ユニークなものが望ましい。 (例:目立つ言葉「アップル」、異質な単語「トイザらス」、変わった組み合わせ「ゼロックス」「エクソン」) 
 → AかつBかつCなんて難しすぎますね...

・ブランド連想
 ブランド・ネームは簡潔なコミュニケーション形態なので、消費者がネームから引き出す明示的かつ暗示的な意味が重要である。
ブランド連想を生むブランド・ネームの例
口紅の「カラーステイ」
シャンプーの「ヘッド・アンド・ショルダーズ」
練り歯磨きの「クローズ・アップ」
低脂肪スナック菓子の「スナックウェル」
自動車バッテリーの「ダイ・ハード」
床用ワックスの「モップン・グロウ」
低カロリー冷凍食品の「リーン・クレジーン」
チキン・スパイスの「シェイクンベイク」
冷凍冷蔵庫の「サブ・ゼロ」
静電気除去剤の「クリング・フリー」
 例に挙げられているブランド・ネーム、1つも知らない...。これは日本版で作る必要がありますね。

 ということで、仕切り直し初回はこれくらいで。
今年こそ、週1~2回で更新できるようにしたいと思う次第です。 

4-3.ブランド要素の選択肢と戦術

ブランド名を決めるのは簡単ではありませんよね。広告代理店などもそれを仕事にしますし、専門のコンサルティング会社が存在します。1つのブランド名を決めるために数百万の費用がかかります。

実際、そうした費用をかけてブランド名を作れるのは大手企業となりまして、多くの企業は自社内で決めることでしょう。そんな時にはある程度知識を持って臨みたいですよね。

関連する内容をメモとして残しておきます。

理想的なブランド・ネーム
 →  覚えやすく、ポジショニングの基礎をなす製品クラスと特定のベネフィットを明確に示唆し、本質的に楽しさや興味深さがあり、クリエイティブな可能性に富み、さまざまな製品や地域に移転可能で、長期間にわたって意味性や関連性を維持でき、そして非王立上および競争上の防御可能性が高いものである。

※それを生み出すのが大変なんでしょ...

有名なブランディング・コンサルタントであるイーラ・バックトラックによると、
「英語には14万の単語があるが、平均的なアメリカ人が認識できるのは2万語である。彼のコンサルティング会社であるネームラボでは、ほとんどのテレビ番組やコーマンシャルで使われる7000語にこだわっている。」
とのこと。

ランドー・アソシエイツによるブランド・ネーム分類

1)記述的
 機能をそのまま説明するもので、一般に登録不可能
 例)シンガポール航空/グローバル・クロッシング
2)示唆的
 ベネフィットや機能を示唆している
 例)マーチファースト/アジレント・テクノロジー
3)複合的
 2つ以上の、しばしば意外な言葉の組み合わせ
 例)レッドハット
4)ラテン語、ギリシャ語、サンスクリット語にもとづいている
 例)メリトール
5)独断的
 実在する語だが、企業との明らかなつながりはない
 例)Apple
6)空想的
 明らかな意味のない造語
 例)アバナード

ブランド認知

 シンプルで、発音しやすく、綴が簡単で、親しみやすく、意味があり、差別化され、目立ち、ありふれていない、こうした特性を持つブランド・ネームならば、ブランド認知向上に貢献できることは間違いない。

 ※だから、それが難しいんですよ...

4-2.グローバル・ブランディングにおける失敗の10の事例

前項にてあげた「移転可能性」について。

ブランドを他の言語圏や文化圏に導入しようとしたところ、ブランド・ネームやスローガン、パッケージが当該地では全く意図しない意味となり変更を余儀なくされる例がありますよね。こうしたブランドは「移転可能性が低い」ということです。

本書に、その10の実例がまとめられていたので記録しておきたいと思います。

1)ブラフニ社の室内装飾品のスローガン「革で遊ぼう(Fly in leather)」
   → スペイン語にすると「裸で飛ぼう(Fly naked)」として広がった。
2)クアーズのスローガン「自由になろう(Turn it loose)」 
   → スペイン語で「下痢を患う」という意味になった。 
3)フランク・パーデュー社のタグライン「やわらかい鶏肉を作るには、タフなオトコが必要だ」
   → スペイン語で「愛情深い鶏肉を作るには、性的な刺激されたオトコが必要だ」という響きになった。
4)シェビー・ノバがスペイン語圏で売れなかった理由
   → 「No va」がスペイン語で「進まない」 という意味だったから。
5)ペプシのスローガン「ペプシはあなたの活力を取り戻す」
   → 中国語で「ペプシはあなたの先祖を墓場から復活させる」という意味になった。
6)コカ・コーラが中国に初上陸したときの中国語表記
   → その文字が「オタマジャクシを噛む」という意味になり、「口の中の幸せ」を意味する「可口可楽」に変更。
7) クレイロール社のカール用アイロン「ミスト・スティック」
   → ドイツで「ミスト」は肥料を意味するスラングであった。
8) ガーバー社のアフリカで赤ん坊をあしらったパッケージのベビーフード展開
   →  アフリカの多くの人は文字が読めず、ラベルの絵・写真で内容物を示すのが一般的
9) 三菱自動車「パジェロ」
   → スペイン語では、それがマスターベーションを意味する言葉だった。
10) トヨタ「MR2」
   → フランス語では罵り言葉とよく似ていたため、フランスでは「2」を外した。 
本実例からの学びは1点ですね。それは、

グローバル展開を考えるなら「スペイン語」に気をつけろ!

 ですね。
戦略的ブランド・マネジメント 第3版
戦略的ブランド・マネジメント 第3版